プレートが動いて日本ができ、地震も起きる

 私たちはとても元気の良い大地の上に住んでいる。おっとりとしたヨーロッパ大陸にある諸国とは随分違う。図1のように、日本周辺は世界で最も地震活動が高いところである。幸か不幸か、図2に示すように、日本列島は4つのプレートが「おしくら饅頭」をするところに乗っている。

 ご存知のようにプレートは、地球を卵に例えると卵の殻にあたるところに存在する。図3のように卵の殻は十数枚に分かれていて、卵の白身にあたるマントルの上に乗りながら、マントル対流に伴ってベルトコンベヤーのようにあちこちに移動する。図1図3を 比較すると、プレートの境界で地震が集中して起こっている。この原因がプレートテクトニクスである。1912年に南アメリカ大陸の東海岸とアフリカ大陸の 西海岸の奇妙な形の類似からウェゲナーが大陸移動説を唱えたことが起源となり、その後、1968年にケンブリッジの若い研究者たちが岩盤に刻まれた地磁気 の刻印からプレートテクトニクス理論を見つけた。かつての超大陸がバラバラに分かれて今の大陸の配置になった。

 私たちの東にある太平洋プレートは、図4に 示すように、1万キロも離れた東太平洋の海の中で生まれる。東太平洋海膨である。ここで湧き出したマントルは、冷えて固まってプレートになる。プレートは マントルの対流と共に年間10cm程度の速度で日本に近づいてくる。その間に徐々に冷えてプレートは厚みを増し重くなる。日本にやってくる途中にあるのが ハワイである。ハワイの下にはホットスポットと呼ばれる高温のマントルが湧き出す場所がある。一番大きなハワイ島の下である。このためハワイ島ではキラウ エアなどの火山が盛んに活動している。その西には徐々に小さくなったマウイ島、オアフ島、カウアイ島が続く。昔、火山で作られた島々がベルトコンベアに 乗って西に移動し、海に浸食されて徐々に小さくなった。さらに西には、海底に天皇海山が連なる。

 さらに旅を続けて、日本列島の有る場所に到達すると、陸のプレート(北アメリカプレート)と遭遇する。陸のプレートに比べ海のプレートは重いため、陸のプレートの下に潜り込んでいく。潜り込み場所にあるのが、日本海溝である。

1億年の旅の間に、海のプレートの上には海の中のゴミ(プランクトンの死骸)が沢山積もる。ゴミを乗せて陸のプレートの下に潜り込むため、上に乗ったゴミ は引っ掻き出されてしまい、海溝の西脇にどんどん溜っていく。このゴミが溜ってできたのが日本列島である。日本中でセメントの元になる石灰岩が産出される 理由がこれで分る。日本列島は、何と、プレートがおしくら饅頭をすることによってできたゴミ溜であり、これが地震の頻発と関係する。

 もう一度、図2を 見てみよう。日本列島の周辺には、陸のプレートが2枚、海のプレートが2枚ある。西日本はユーラシアプレートの上に、東日本は北アメリカプレートの上に 乗っている。そして東から太平洋プレートが、南東からはフィリピン海プレートが向かってくる。東京は3枚のプレートが重層した世界でも稀な場所であること が分る。

 図5に 示すように、プレートが接する場所ではプレート境界の海溝型の地震が発生する。東海地震、東南海地震、南海地震、関東地震、十勝沖地震、宮城県沖地震など が代表格である。さらに陸のプレートの中にも副次的に力がかかって地震が発生する。これが活断層などが活動して発生する内陸型の地震である。濃尾地震や兵 庫県南部地震などの内陸直下で起きる地震である。これ以外にも沈み込むプレートの中で発生するタイプの地震もある。

 ここでは、プレート境界で発生する巨大地震、内陸の活断層で発生する地震について、勉強をすることにする。

図1&3&4 http://www.jishin.go.jp/main/mech/eqmechfrm.htm
図2 http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/PNG/fig4.D.png
図5 http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/PNG/fig4.9.png