8月の最初の一週間の報告(09/8)

みなさんこんにちは。この原稿は、8月7日に書いています。今日は一日かけて三重県庁の講堂で開催された大規模な災害図上訓練に参加してきまし た。この訓練には、三重県庁の各部署の方々に加え、自衛隊、警察、海上保安庁、気象庁、国土交通省、日赤、中部電力、東邦瓦斯など、災害対応の前線で活躍 する防災担当者が結集していました。

朝一番に東海地震の警戒宣言が発令されて、災害対応職員が県庁に参集したところに、東海地震ではなく東南海地震が発生、さらにその後、東海地震 も発生し、停電までするというリアリティのある訓練でした。参加者にはこのシナリオは全く知らされておらず、臨機応変な対応が求められました。市町村職員 も含め、数百人の参加者が訓練に参加し、真剣に訓練に取り組んでいました。こういった訓練が災害対応力を増し、さらに日ごろの災害への備えも確実にさせる のだと思います。私はダメだし(あらさがし?)のための講評者として出席をしましたが、大変勉強になりました。

64年前の今日(1945年8月7日)は、豊川海軍工廠が大爆撃を受けた日になります。学徒動員されていた若者たちを含め、2500人を超す犠 牲者が出ました。そして、昨日(8月6日)は、広島に原爆が投下されて64年になります。戦争末期の度重なる震災と戦災を思い起こさせます。そして、来る 9月11日には、東海豪雨から9年を、9月26日は伊勢湾台風から50年を迎えます。最近は、伊勢湾台風50周年に関わるイベントや特集番組・特集記事が 多くありますので、風水害の勉強をするには最高のタイミングですね。

今年の空はいつもと違うようで、あちこちで豪雨災害が発生しています。これから台風シーズンを迎えますので、十分に注意をし、備えておきたいと思います。

さて、今回は、8月の第一週の私の防災活動を報告することで、各地での防災の動きを見てみることにしましょう。

8月に入って、最初の日曜、8月2日に、静岡県で開催された防災士養成講座にでかけてきました。郵便局長さんが中心に参加されていましたが、静 岡育ちの方々にも関わらず、まだ局長さんたちの防災対策は十分ではなかったようです。皆さんこの研修会で心を入れ替え防災士になった暁には、備えの率先市 民になってくれると思います。下の写真は私の講演終了時に、家具固定などの備えをやると誓ってくれた参加者の様子です。防災士養成講座は、名古屋でも9月 4~6日に開催されるようです。あいち防災カレッジが終了したために、県民の多くの方々が防災士養成講座に参加されるようです。

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そういえば、名古屋市の災害ボランティアコーディネータ養成講座が今年で終わってしまうとの噂を耳にしました。人づくりは継続が命です。ぜひ、皆さん、市長や市議会議員、市役所職員の方々に、養成講座の継続的実施を働き掛けてください。

8月4日(火)には、社会福祉法人AJU自立の家が主催する「災害時要援護者の避難支援、避難生 活支援セミナー」に参加しました。このセミナーはウィル愛知で開催され、パネルディスカッションには阪神淡路大震災で被災された障害者の玉木幸則さん、重 度の障害者の娘さんと共に東海豪雨で被災された戸水純江さん、東海地震の被災地・富士市で防災活動を展開されている障害者の望月亜矢子さんが登壇されまし た。玉木さんと戸水さんの被災体験は身につまされるものでした。とくに、文化住宅に住んでいて、2階建て家屋が倒壊し生き埋めになった玉木さんの体験談 は、迫力満点でした。このセミナーでは、健常者では想像ができない障害者の方々ならではの課題を多く学ぶことができました。パネルディスカッションで改め て思ったのは、災害時に弱者となる可能性のある方々は、健常者よりも日ごろの備えがより重要となるということです。そこで、ここでも皆さんに今日何か一つ でも備えをしてくださいとお願いし、下の写真のように手をあげて誓ってもらいました。

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翌8月5日には、大府市のあいち健康プラザで開催された「高校生のための学校安全総合セミナー」に終日参加し、元気な高校生の皆さんと一緒に防 災の勉強をしました。このセミナーは、愛知県教育委員会が主催し、当日は県下の全県立学校から高校生と教職員636名が参加しました。参加者は、「防犯」 「交通安全」「防災」の3つの体験型のコースのどれか一つを受講しました。防災コースは、レスキューストックヤードの栗田さん・松田さんと私の3人が担当 しました。私と栗田さんの話の後、防災クイズ、防災運動会、伝言ゲームを実施しました。防災運動会は、下の写真のように大いに盛り上がりました。

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また、伝言ゲームでは、「時間雨量100ミリを超える豪雨が降り一部地域で浸水被害も出たことから「避難勧告」が発令されました。支援の必要な近所の方 にも声をかけて、速やかに最寄りの指定避難所に避難しましょう。」という文章を各チーム20人で伝言をしました。10チームの最終的な伝言結果は、下記の 通りでした。なぜ、デマが発生するか良く理解ができました。下の文章は、伝言がはやく伝わった順に並んでいます。二つ目と三つ目は教員グループです。さす が、先生方は冷静ですね。

  1. 瞬間雨量が100ミリを超えました。最寄りの避難場所へ避難してください。
  2. 豪雨の避難勧告が出ました。もよりの避難場所へ避難してください。
  3. 時間雨量100mmを超えました。指定場所に避難してください。
  4. 100mm以上の雨が降っているので近隣の避難場所へ避難してください。
  5. じゅかん人数は百人を超えました。近隣住民は速やかに避難してください。
  6. 一部の地域で避難勧告が出されました。たんかを用意してください。
  7. 降水量が500mlを超えたので各避難場所に避難してください。
  8. 瞬間雨量が100ミリをこえました。最寄りの避難所に避難してください。
  9. 2列目がむすったらしくて降水量が100mmを
  10. 1時間前に暴風警報が解除されても学校に来ないでください。

 口頭での情報伝達の難しさがよくわかります。日常生活でも、色々な話が2~3人の人を介すると全く違う物語になって いる場面によく出くわしますね。怖いことです。やはり、メモでの伝達が大事ですね 今回防災コースに参加してくれた高校生の中から40人ほどが、8月の末 に岡崎の愛知県青年の家で合宿をし、さらに防災の勉強をして、高校生防災リーダーを目指します。彼らは、高校に戻って同級生たちを啓発してくれることにな ります。この高校生防災セミナーは、愛知県教育委員会の主催で2004年から続けてきたのですが、財政難で本年度は愛知建築地震災害軽減システム研究協議 会(減災協議会)に支援をお願いしてなんとか継続することになりました。来年度以降、どのように継続するか、教育委員会の皆さん、レスキューストックヤー ドの栗田さんと一緒に頭を痛めているところです。

 さて、あいち健康プラザのすぐ近くに東浦町立郷土資料館(うのはな館)があります。東浦町は徳川家康の母・於大の方 や、塩田やぶどうで有名な場所です。うのはな館で面白いものを見ることができると知り、セミナーのお昼休みに、訪ねてきました。うのはな館には、愛知の郷 土史家、服部徳次郎氏が寄贈したコレクションが保管されています。服部徳次郎氏は、3次元鳥瞰図を多数残した吉田初三郎の作品を多数蒐集していました。当 日は時間がなかったので、数点の作品を収蔵庫から出してもらって写真にとってきました。下に示すのは名古屋市の鳥瞰図で、昭和6年刊行のものです。

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 この絵から、築地口が陸の先端であったこと、市街地は千種あたりまでで名古屋城の北には何もなかったこと、今池は野 原で池下近くに蝮池があって覚王山より東には何もないこと、県庁や市役所はまだ栄にあること、大須には塔があり寺社が集まっていたこと、名古屋駅はまだ笹 島にあったこと、桜通り・錦通り・白河通りはまだなかったことなど、今との違いがよくわかります。

 一度、東浦に出かけてじっくり眺めてみてはどうでしょう。名古屋だけでなく、愛知県下の色々な市町村の鳥瞰図が残っ ています。鳥瞰図なので同時の街並みが一見して分かります。前回ご覧いただいた尾張名所図会とはまた異なった形で当時の様子を実感することができます。こ れらの絵と今の地図を比べることで、災害危険度の変化をわが事と感じてもらえると、防災対策が進むのではないかと思います。

 今回は8月第一週の出来事を通して、当地の防災活動の一端を覗いてみました。皆様も、それぞれの地域の足元を覗いてみてはどうでしょうか?