過去と今の防災力を比較する(07/1)

 皆さん、明けましておめでとうございます。昨年は、それ以前に比べて、やや自然災害が少なかったように思います。今年も、大きな災害が無いことを祈ります。

 防災リーダーの皆様のご尽力で、当地の備えも徐々に進んでいるように感じます。昨年には、新たに、防災まちづくりアドバイザーや、耐震化アドバ イザーの養成が始まり、防災リーダー、災害ボランティアに加えさらに一緒に活動する地域の応援団が増えてきました。これら応援団同志でうまく連携して頂 き、地域防災の主役である、地域住民の方々の防災行動を誘導し、地域防災力を少しでも向上させていっていただければと思います。

 さて、今年は、宝永の巨大地震や宝永の富士の噴火から300周年という記念すべき年です。そこで、今年の防災よもやま話では、過去と現在との比 較を通して、私たちの今のまちの点検をしてみたいと思います。今回は、その第一回ということで、前回の東南海地震・三河地震の時代と現代との社会環境を概 括的に比較してみたいと思います。まずは、下の表をご覧下さい。皆さん、沢山、思い当たるところがありませんか?

 下の表を比較すると、今の時代が如何に災害に弱くなったかが実感できます。敵(揺れの強さ)は強くなり、体力(耐震性・室内危険度)は弱くな り、神経回路(ライフライン・情報通信・交通)は複雑怪奇化し、精神力(自助・共助の力)も衰えています。強力なノロウィルスと人間とどちらの方が生命力 があるでしょう。高等生物になるほど、効率は上がりますが、脆くなります。

表 過去の地震発生時と現代との社会環境の違い

比較項目 戦前 現在 現在の危険度
まちの立地場所 良好な地盤 軟弱な地盤 強い揺れ、液状化危険度
住宅密集度 隣棟間隔が大きい 密集住宅地 高い延焼危険度
住宅の構造 平屋・草葺き・板葺 2~3階建て瓦葺き
中~超高層集合住宅
耐震的余力の減少
長周期問題の懸念
寝室の場所 1階 2階以上 強い揺れ
家具 少ない家具 大量の家具 室内危険度の増大
建物規模 低・小 高・大 同時被災者の増大
ライフライン ランプ・かまど・井戸・くみ取り便所 電気・ガス・上下水・EV 生活困難者の発生
高層住民の難民化
通勤・通学手段 徒歩、職住近接 鉄道・車、遠距離通勤 交通途絶で勤務困難
交通の場・速度 地上走行・遅い速度 高架・高速 揺れ大、脱線、停止困難
放送・情報通信 ラジオのみ ラジオ・TV・Internet
電話・携帯
高い情報依存
社会システム 自律分散的、下等生物 中央集約的、高等生物 高効率だが脆い社会
地域コミュニティ 自律的・地域内共助 希薄
行政への依頼心大
ボランティア頼み
家族の態様 大家族
家族内で弱者救済
核家族
独居老人
次世代への語り継ぎ
弱者世帯の急増
国民性 連帯的・自律的・自助
ハングリーさ
無関心・無責任・贅沢
行政頼み・楽観的
贅沢・飽食
生きる力の減退
子供の遊び方 集団での野外の遊び 一人でのゲーム遊び 生きる力の減退