都市地震防災情報統合GIS(インターネット版)
要旨
1.はじめに
地震防災を行っていく上で地震被害をイメージすることは基本であるが、
地震被害をイメージするには、
震源から伝播経路、地盤、建物、交通網、ライフラインなど、
様々な情報が必要である。
兵庫県南部地震以後、自治体で、被害想定や震災対策が行われているが、
特に空間データにおいて、
データベース間での精度のばらつきや矛盾が指摘されており、
統一的な基盤のもので整備が必要との認識が高まっている
1)。
また、日常業務で扱う情報をいかに集積して地震防災情報としていくかが、
地震時の有効な情報活用の鍵となる、というのが、
今後の地震防災を考える上での、
多くの地震防災関係者の関心事になっている。
情報整備を行うにあたり、
地震防災における情報活用イメージを持つことは重要である。
この場合、既存の情報を統合し、現状でどこまで出来るのか、
何が足りないのか、などを見極めることが肝要である。そのためには、
既存の情報を統合的に取り扱うことができ、
新たな情報も簡単に導入していける情報統合GISの構築が必要である。
名古屋大学福和研究室では、過去5年に渡り、
都市地震防災情報統合GIS「Jmap」の構築を行っており、現在も、
データおよびシステムの更新・拡張を行っている
2)。
一方、ここ1~2年、インターネットが爆発的な普及を遂げてきた。
官庁、学校、企業、一般市民まで幅広く普及しつつあり、
テレビや電話やFAXを凌ぐ情報通信メディアとして期待されている。
地震防災に関しても、インターネットを活用していく動きが出始めている
3)。
このような背景から、本システムでは、幅広い情報提供、情報の共有化、
データ整備意識の喚起などをねらいとして、
都市地震防災情報統合GISのインターネットへの展開を試みている
4)。
インターネット上で、GISのインタラクティブな動作を実現するために、
実装言語として、JAVA5)を用いている。
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