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伝統的な木造建築の工法で造られた寺や神社は、地震の揺れに対する抵抗力が弱いものも少なくありません。比較的新しい神社や寺の中にも耐震性が劣るものもあります。
このような建物にはどのような耐震対策が効果的なのかを実験しながら学ぶことのできる教材、それが「お寺ぶるる」です。

構造特性の異なる2棟の建物模型を台車の上に並べて加震実験ができます。 建物は縮尺比10分の1の木造模型で、江戸時代に立てられた一般的な寺を想定しています。

 

各実験の動画は「社寺建築 耐震補強のすすめ」にまとめてあります。


■ 一般的なお寺の壊れる原因

柱が折れる

小壁の抵抗力は強かったのですがその下の部分で柱が折れて倒れ てしまいました。柱が細く、貫を通すためのホゾ穴が大きい場合、このような被害が生じることがあります。
 

柱脚がずり落ちる

衝撃的な地震の横揺れにより、建物がダルマ落としのように礎石からずり落ちてしまいました。
一部だけずれ落ちることにより建物が損傷する場合もあるので注意が必要です。

■ 耐震補強方法
屋根を軽くする

屋根の重量に押しつぶされるように倒壊する例が多く報告されています。そこで軽量化対策として、現在は瓦や土を降ろし、銅板などで屋根を覆う施工が多く採用されています。左側の軽い屋根の建物の揺れは小さくおさまっています。

 

合板をつける

普通の木造住宅の耐震補強でもよく用いられる、合板を用いた補強方法です。壁配置の悪いものに新しく付け加えるとか、土壁の上に重ねて設置するパターンなどが考えられます。実験では、四隅の壁に合板補強を施しています。

亀壁をつける

この格子壁(亀壁)の四隅には対角線をずらした連結棒が設置されており、これによって地震の振動を格子壁の回転運動に変え、木材同士が摩擦することでエネルギーを吸収する仕組みになっています。

小壁・床下の補強をする

一方、補強のために大きな壁をつけるのは「見映えが悪い、暗くなる」などといった理由から、これを避けたいというケースもあるかもしれません。そんな場合には、柱上部の小壁や床下を補強して、耐震性能を高める方法もあります。

免震装置をつける

基礎に設置された装置の動きで、地盤の揺れを受け流す「免震」構法では、建物の揺れが極めて小さ
くおさまります。免震装置により建物が地面から切り離されている様子がよく分かります。

これらの実験はすべて
「社寺建築 耐震補強のすすめ」
にまとめてあります。

模型製作: 魚津社寺工務店
開発:日本システム設計/ 名古屋大学 福和研究室
撮影:クルー